テクニック

うまく削れない??初心者脱出の切り札「ベベルラビング」をマスターしよう!

2020年4月17日

木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング

木工旋盤で器などをつくりはじめた初心者の方々を見ていると、たいてい多くの人がうまく削れないと嘆いています。表面がガタガタになってしまったり、ひどいときはキャッチと呼ばれる不意に刃が木材に大きくえぐりこむ現象(大なり小なり衝撃があります)が起きたり。これらは、正直、誰もが通る道であり、最初からきれいに削れる人なんていません。私もそうでした。ですから、安心してください。

ただ、安心しきってしまったら、そこからの上達はありません。なぜ、うまく削れないのか原因を探る必要があります。

さまざまな原因がありますので一概には言えませんが、まずはしっかり身に着けておきたい、木工旋盤の上達において避けては通れない技術が「ベベルラビング」とよばれるものです。むしろ「ベベルラビング」さえできていればほぼ「初心者」を卒業したといってもよいくらいです。ベベルラビングが、どういう条件で成り立つのかを理解すれば、木工旋盤での加工の基礎を理解できたということですから、しっかりマスターしておきたいですね。

ベベルラビング=鎬を擦る

木工旋盤をやっている以上、避けて通れないベベルラビングですが、そもそもベベルラビングとは?木工旋盤(ウッドターニング)の世界では、国内でもカタカナ用語が非常に多くて困りますよね。

ベベル(Bevel):鎬(しのぎ) = 研ぎ面

ラビング(Rubbing): こする

日本語にしても、「鎬(しのぎ)」という日常で使われない言葉が出てきてしまいましたが、鎬とは研ぎ面のことをいいます。つまりベベルラビングとは「研ぎ面をこすらせる」という意味になります。

なぜ鎬をこすらせることが大事なのか?

ではなぜ鎬をこすらせることが大事なのか?

日本の工具(例えば鑿(のみ)、鉋(かんな) などの刃物 )で木材を削る際、刃先だけを木材にあてて削ることはありません。接点が刃先だけの1か所だけになると、どうしも刃先が安定せずきれいな加工ができません。そのため鑿であれば、「裏」と呼ばれる箇所を沿わせながら、さらに持ち手も工夫して安定して削れるようにします。鉋でも、刃をすげる台そのものが刃を安定させるための役割をしており、さらに両手でその台を包み込むように持ちます。

では、木工旋盤ではどうでしょうか?

大きな加工物であっても、木工旋盤の刃物は小さいわけです。重要なのは、その刃先をいかにブレさせずに安定した状態で切削し続けられるか、という点です。

まず、刃物台(ツールレスト)をなるべく切削箇所に近く配置することでそのブレを極力抑えることはできます。

木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング
木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング

それでも刃先1点で加工物に接していると、その刃物台に触れている点が支点となりどうしても刃先はブレます。

木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング

そのために、「鎬を擦る」ということが重要になってくるのです。

木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング

刃先以外にも加工物に触れている点(もしくは面)が増えることで安定度が劇的に変わります。刃のすぐそばを鎬が支えてくれるわけですから接する箇所が2点になり、より安定する。納得ですよね。

ベベルラビングをするために重要な3つのこと

では、その重要さがわかったところで、ベベルラビングをやるために重要なことを紹介します。ここで挙げるポイントがすべてそろってはじめてベベルラビングがきれいにできる、逆に一つでも欠ければいつまでたっても上達はできないと思ってくださいね。

POINT 1 刃先の高さを中心にくるよう”刃物台の高さを調整”する

初心者の方の多くは、刃物台(ツールレスト)の高さについてあまり重要視していないように見受けられます。しかし、刃物台の高さはとても重要で、正しくセットされていなければ、あたるべきところに刃先を持って行けず、無理に持っていこうとすると構えがおかしくなるなど、これでは上手に削ることはできません。

ある程度上達してくると右手の高さを調節しながら、多少の高さのずれもカバーできるようになるものの、初心者にとってはその動きも難しいようです。

では、刃物台をどの高さに合わせればいいのでしょうか?

正解は、自然に構えた時に、刃先が回転軸の中心にくるところです。

まず、木工旋盤そのものの高さを確認しましょう。自分の腕を90°に曲げた時、手の高さが回転軸の高さと同じぐらいであれば、機械の高さ調整はOKです。もし極端に違えば、非常に削りにくくなりますので、旋盤の高さを調整した方がよいでしょう。そして、次に大事なのは、肩に力を入れずリラックスした状態で自然に構え、刃物台に刃物を置いたときに、その刃先が中心の高さになるようにすると、削りやすくなります。この「自然に構え」というのは、刃先に対して、ハンドルが水平または少し下がるぐらいになっていること。個人差はありますが、ハンドルを持つ右手が少し下がっているぐらいが削りやすいと思います。そういう状態になっていなければ、旋盤そのものの高さ、または刃物台の高さを変えた方がいいでしょう。

ベベルラビングの最初のポイントはこの刃物台の高さ調整になります。

POINT 2  刃の角度を進行方向に45°傾ける

慣れてしまえば、意識しなくても自然にできるようになるのがこの「刃を進行方向に45°傾ける」というものです。これは刃物の溝(フルート)がどこを向いているかで判断できます。 これ、めちゃめちゃ重要なのですが、初心者の方は、どれだけ注意しても気が付いたら溝が真横に寝てしまっていたり、真上に向いてしまっていたり。最初は意識して45°に傾けていても、削り進めるうちに角度がどんどん変わっていってしまうことも良くあります。

常に進行方向に45°

木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング

これができなければベベルラビングできれいに削ることはまずできません。

木工旋盤 ウッドターニング TURNING TALK テキスト ベベルラビング
魔法の角度「45°」:これが維持できればもっとスムーズに削れます

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POINT 3  切り進めながらも鎬が擦れるようにハンドルを動かす

鎬を擦るためには、切削面に対して、研ぎ角分ハンドルを傾けるということになります。45°傾けることと同様、削り始める前は意識をして最初はできているのですが、削り進むにつれてハンドルが切削面に対して直角になってしまうことが多いです。

右手の進み具合と左手の進み具合をいかに調整できるか。左右の手の進むスピードが違えば、鎬が擦れる角度から離れていくわけですが、右手、左手をしっかりコントロールできるようになれば、カーブがあっても上手にベベルラビングで切り進められるようになってきます。

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形状がカーブしていればそれに沿って右手も動かす。これの写真は右手が動かずそのまま削り進めるよくない例

正直難しいです。でもこれは練習するしかありません。

鎬を擦る、これをマスターすれば初心者脱出!

以上、ベベルラビングを行うコツを上げてみました。

言葉にするのは簡単ですが、実際やるのは難しい。私自身も教えながら非常に苦労するところです。しかし、正直なところ上達するには、これらのポイントをどれだけ意識しながら、どれだけ数をこなしたか、なんですよね。

とにかく練習あるのみ!がんばりましょう!

  • この記事を書いた人

和田 賢治(管理人)

本格木工シェア工房「ツバキラボ 」代表。 木工旋盤歴10年。インストラクター歴8年。2017年に開業した会員制シェア工房「ツバキラボ」では、木工旋盤の教室を開催し、多く会員が木工旋盤を楽しんでいます。また、海外のクオリティの高い木工旋盤の道具も販売しています。より多くの人に、木工旋盤を楽しんでもらいたいと思い、ターニングトークを開設しました。

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